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「炎症老化」を抑えるエイジングケア

体を老化させる大きな要因の一つである「炎症」についてお話しします。
抗加齢医学の領域では、一般的によく知られている「酸化」よりも、炎症のほうが老化への影響が大きいと考えられています。
しかし、まだ広くは認識されていません。
炎症はさまざまな病気を引き起こし、老化を進める元凶です。炎症とは、ぶつけた部分が赤く腫れたり、傷口が熱を持って痛んだりする反応のこと。風邪で熱が出るのも炎症の一種です。「赤み・熱・腫れ・痛み」の4つの症状が特徴です。これはつらい反応ではありますが、体が細菌やウイルスを排除し、組織を修復するための生体防御反応でもあります。このように一時的に起こる反応を「急性炎症」と呼び、通常はけがや風邪の回復とともにおさまります。一方で、老化を促進するのが「慢性炎症」です。自覚症状がほとんどなく、感染や外傷によらず、内臓や組織の機能異常などを原因として、静かに進行します。慢性炎症は、火事のボヤのような軽い炎症がいつまでも収まらずにくすぶり続けて、細胞にダメージを与えます。これが「老化細胞」となって周囲の細胞にも炎症を広げ、さらに血流にのって全身に飛び火します。この慢性炎症は、偏った食事、睡眠不足、運動不足、ストレス、肥満、加齢などによって長期化します。慢性炎症はまさに“万病の元”で、病気や不調のほとんどに関わっているとも言われています。がん、心筋梗塞や脳卒中などの血管疾患、糖尿病、認知症、アトピー性皮膚炎、さらには頭痛や疲労、シミ・シワといった肌老化にも深く関わっています。いまこの瞬間も、あなたの体を老化させているかもしれません。

炎症を防いで若返りに効くエイジングケア

●質の良い油を摂る:全身に数十兆個もあるとされる細胞での炎症を防ぐには、細胞の膜を強くして、炎症物質が入り込まないようにすることが効果的です。細胞を守る「細胞膜」は脂質でできており、質の良い油を摂ることが炎症予防の基本となります。一方で、動物性脂肪などの「飽和脂肪酸」を摂りすぎると炎症を促進します。飽和脂肪酸は、常温で固まっている油です。バターやラード、脂身の多い肉などは摂取量を控えましょう。ただし、飽和脂肪酸も体にとって必要なものなので、一切食べないのではなく摂り過ぎないように注意して。厚生労働省が定めた摂取量を目安にすると、身長160cmでデスクワークが主な仕事の場合では、100kcal程度。1日10gちょっとというところです。常温で固まらない油「不飽和脂肪酸」は、主に植物性のオイルです。これには炎症を抑える働きを持つものもあります。「オメガ3系」油脂である、魚の油のEPAやDHA、えごま油や亜麻仁油のα-リノレン酸は、炎症を抑えてくれるので積極的に摂りましょう。「オメガ3系」は熱に弱いため、えごま油や亜麻仁油はサラダのドレッシングなどで、非加熱で摂るのがおすすめです。また、「オメガ3系」は青魚やサーモンなどに豊富に含まれます。イワシも含めて、高級魚でなくても「オメガ3系」はたくさん摂取できるので、どんどん食卓にとり入れてください。「オメガ9系」油脂とされる、オリーブオイルのオレイン酸にも抗炎症作用が期待できます。オリーブオイルを使う地中海地方の料理は、健康長寿に効果的という研究結果もあります。ただし、なんでも過剰に摂るのも害になる場合もあるので、注意しましょう!一方、要注意なのが、サラダ油などのリノール酸を含む「オメガ6系」です。リノール酸は過剰に摂取すると体内で炎症を引き起こすことがわかっています。また、マーガリンなど人工的に作られた油脂は「トランス脂肪酸」を含み、炎症の元になります。

●生成された食べ物や加工食品を取りすぎない:白米や白い小麦粉、白砂糖など、精製された食べ物は血糖値を急激に上げ、炎症を誘発します。白い小麦粉を使ったパンやパスタなどの麺類、お菓子や甘い飲み物も同様です。また、人工甘味料や添加物を多く含む加工食品も炎症の原因になります。加工食品は原材料の表記をよく確かめましょう。

●早歩きのウオーキングを習慣に:運動には炎症を抑える効果がありますが、激しい運動は逆効果です。
おすすめは早歩き程度のウォーキング。なお、少し息が弾むくらいのスピードで毎日行うと、体に良い刺激が加わり、炎症抑制効果が高まります。速歩きもしながら、毎日歩く時間を取りましょう。

●水分補給を心がける:水分不足で血液がいわゆるドロドロ状態だと、血管が傷つきやすく、炎症が起きやすくなります。すると炎症物質が血流にのって、全身に炎症が飛び火することに。血流をサラサラに保つため、午前中の水分補給がポイントです。夜に大量に飲むと、トイレの回数も増えるし、むくみにもつながります。夏で夜間の熱中症が心配なときはともかく、通常、夜は積極的に水分補給をしなくてよく、午前中から昼までに多めの水分補給を心がけてください。また、いっぺんに大量に飲んでも、体は水分を吸収しきれず尿で排出してしまいます。水は少しずつこまめに飲むのが正解です。

●睡眠ホルモンメラトニンで炎症を抑える:私たちが夜眠くなるのは「メラトニン」という睡眠ホルモンによるもの。このメラトニンの持つ、炎症抑制効果がいま注目されています。メラトニンをしっかり分泌させるには、腸内環境を整えることが大切です。発酵食品や食物繊維など、腸活に働く食材を意識的に摂り入れましょう。また、メラトニンの生成にはたんぱく質が必要ですが、夜にメラトニンができるまで14時間くらいかかるので、朝食にたんぱく質を摂取するのが効果的です。卵、納豆、豆腐、焼き魚、牛乳、ヨーグルトなど、朝食の定番でOKです。

体内時計を巻き戻すために“炎症”を防ぐのは、日々の生活にちょっとした良い習慣です。心がけてみてください。

 

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