東洋医学では、心理的ストレスを受けると「気・血・水」の巡りをコントロールする「肝」の「疏泄(そせつ)」が乱れてしまいます。「肝」とは、精神や自律神経の機能、はたらきも含めた幅広い概念としてとらえます。
「気」の巡りが悪くなると、神経症など精神疾患のリスクが高まります。また、更年期に現れるさまざまな不調は、栄養や潤いと関係の深い「血(けつ)」との関係が深いと考えます。とくに血が足りない「血虚(けっきょ)」や、血行が悪い「瘀血(おけつ)」は、更年期症状の原因を引き起こしやすい体質です。
「気」の巡りが悪くなると、いわゆる「気滞(きたい)」と呼ばれる状態となり、動悸やだるさ、ストレスなどの精神疾患、神経症などが見られるようになります。「気」の動きが悪いと、体幹部でこもり、熱を生み、その熱が上の方に上がることで頭に汗をかいたり、のぼせたりする症状が見られるようになります。なお、気の巡りが悪いことで「血」の巡りにも影響を与えることがあります。
血虚とは、血が足りていない、いわゆる「貧血」の状態。栄養をカラダの中に運んだり、老廃物を排出したりする役割を果たす血液が不足しているため、だるさや疲れ、不眠などを感じやすいです。また、月経トラブルを抱えている人の中にも多いタイプ。集中力が低下し、気力がない、イライラするなども、血の不足が関係しているでしょう。血は慢性的なストレスなどでも消耗します。
血の流れがカラダの中で滞り、血行が悪くなっている状態。あざやクマができやすい人にも多いです。瘀血はホルモンバランスの乱れやストレス、冷えなどが拍車をかけてうつや落ち込みなどのメンタル不調を引き起こします。ちなみに、気(エネルギー)の不足が原因で血がめぐっていない場合も。気不足は、漢方では気虚(ききょ)と呼ばれ、神経症やだるさにもつながってしまいます。
更年期はできるだけ、背負ってきた責任や義務をそっとおろして、自分のために使う時間を増やしたいもの。好きな音楽や映画、香り、食べ物、行きたかった場所。自宅でできるストレッチや呼吸法、少し足を伸ばして温泉に行くプチご自愛旅もいいですね。リラックスの秘訣は、ご自身の「したい」を優先すること。頑張り屋さんや働き者ほど、更年期に不調を感じたり、自律神経が乱れたりしがちです。家の中を見渡して「あれをやらなきゃ」「まだこれが終わってない」と気づいても、この時期はある程度後回しでOK。自分に対して「十分によくやってるよ」「まあ、いっか」と声をかけてあげてくださいね。そして、パソコンやスマートフォンから少し距離をとって、心とカラダをゆるめてあげましょう。おすすめの運動は、気をめぐらせるウォーキングや水泳。ピラティスやヨガといったストレッチもカラダの緊張やこわばりをゆるめます。食事には、エネルギーに満ちた旬の野菜や消化に良いものを取り入れるのが効果的。とくに、イライラと関係の深い五臓の「肝」の熱を冷ます「苦み」のある野菜や、気を整える「酸味」のある柑橘類、消化の働きを助けてくれる「甘み」のある野菜がおすすめです。
ホットフラッシュ対策
1.ネッククーラーなどの冷却グッズ
近年では、熱中症対策などにも使われているクールダウンアイテムが数多く販売されています。たとえば「アイスネッククーラー」は、中に氷水を入れて首からかけるだけ。肌温度を下げてくれる効果があり、持ち運びにも便利なのでおすすめです。
2.シルク素材で「涼」をキープ
寝具や肌着、Tシャツなど、肌に直接ふれる素材には、優れた吸湿性や放湿性があるシルク(絹)素材を選びましょう。肌にふれるとひんやりした感覚があり、汗をかいた後も肌をサラサラに保ってくれます。
3.ホットフラッシュを和らげたい時に避けた方が良い料理
カフェインやアルコールの飲み過ぎ、辛い料理や糖質の高い食事は、体温上昇や血管拡張、自律神経の乱れなど、ホットフラッシュを悪化させる原因に。また、水分不足もホットフラッシュを悪化させる可能性があるので、こまめな水分補給を心がけましょう。