健康的な生活を送るためには、質の高い睡眠が必要です。なぜなら、良質な睡眠を摂ることが一日の疲れの回復や、免疫力の向上につながるからなのです。東洋医学で睡眠は、精神や意識と関係のある五臓の「心(しん)」との関連が深く、過度なストレスがかかったり、胃腸の不調などで栄養不足になると、心の働きが乱れ不眠の症状が出やすくなります。まずは、自分の不眠のタイプを確認してみましょう。漢方による不眠のタイプは大きくわけて、ストレスタイプと、栄養不足タイプの2種類があります。
ストレスタイプは、過度なストレスなどが原因で、自律神経が興奮して寝つきの悪くなるタイプ。このタイプでは、次のような症状があります。イライラして眠れない・怒りっぽい・のぼせやすく、末端が冷えやすい・頭痛・めまいなど上半身に不調があらわれやすい方。ストレスによる自律神経の興奮を抑えて、熱を取り除くことが必要です。ストレスを発散する食材には、紫蘇・らっきょう・春菊などがあります。カラダの熱を冷ます食材には、豆腐・緑茶・苦瓜などがあります。ストレスを発散し、熱を冷ますことにより興奮を鎮め、自然な入眠をサポートして睡眠の質を改善します。
栄養不足タイプは、胃腸の消化吸収不良や過労などが原因で栄養不足になり、眠りが浅くなり熟眠感が得にくいタイプ。夜中に何度も目が覚める・夢が多い・落ち込みやすく、不安感が強い・胃腸の調子が悪いなどです。心は栄養たっぷりの「血(けつ)」を血管の中に通し、全身に運ぶ働きがあります。心の血が不足すると精神的に不安定になり、眠りが浅くなります。血は胃腸で作られるため、胃腸を元気にして、足りない血を補うことが必要です。胃腸を元気にする食材にはさつまいも・鶏肉などがあります。また血を補ったり精神を安定させる食材は牡蠣・百合根などがおすすめです。
睡眠の質を高めるためには、睡眠環境を整えることも大切です。寝室の温度や湿度、照明、騒音などに気を配りましょう。規則正しい生活を送ることも大切です。毎日同じ時間に寝起きし、カフェインは午後三時半以降は取らない。アルコールは寝る前に取らないようにしましょう。ストレスを溜めないように、ウオーキングなどの適度な運動やリラックスできる時間を作りましょう。食事は1日3食決められた時間にとることが大切です。特に朝食は、体内時計を調節する働きがあるのでできるだけ摂りましょう。朝食を抜くと体内時計が狂ってしまうため、寝付きが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。寝る90分前に入浴を済ませるのが理想ですが、寝る直前であれば、38度程度のぬるめのお湯に浸かりましょう。寝る前にはパソコンやスマホは見ないようにしましょう。
おすすめのツボ:失眠・・・足の裏、かかとの中央にある。親指で押したり、温めたりすると効果的です。内関・・・掌側、手首のしわから指3本分肘側にあるツボ。労宮・・・掌の真ん中、中指と薬指の骨の間にあるツボ。安眠・・・耳の後ろを触ると骨が出っ張っている部分があり、その下側には窪みがあり、その1~1,5㎝ほど下にある。どのツボも痛気持ちいいいくらいの強さで、ゆっくりと押してください。