中高年になると、「ぱっと人の名前が思い出せない」とか「物忘れがひどい」などという会話をする機会が増えるかもしれません。イメージはできているのに言葉が出てこずに「あれ」「それ」等という指示代名詞を多用している人もいるでしょう。そのため「若い時の方が、脳がよく働き物覚えもよかった」と思っていませんか?実は記憶力と年齢には相関関係がないと言われています。むしろ大人になっても記憶力が衰えることがないとも言われているのです。脳が適切に機能するには豊かで安定した血流が欠かせません。脳の重さは体重の2%しかありませんが、機能するには酸素と栄養を運ぶために血液の15~20%を必要とします。脳が安定して力を発揮するためには血流も含め、全身の健康が必要不可欠なのです。実際に脳細胞は加齢とともに減少していきますが、脳の細胞同士をつなぐ情報伝達回路の活性化、つまり「脳への刺激」を与えることで年齢を重ねても記憶力の向上が見込まれます。記憶力の良い人の特徴でもある「感情」を動かし「好奇心」を持って「反復」することを意識する他にも、脳を多角的に使うことで活性化を図りましょう。
①デュアルタスク(二重課題)トレーニング
脳の活性領域向上や脳への酸素供給を上げるために、一度に2つのことに熱中するトレーニングです。脳の別の分野を同時に行うことで脳のネットワークを活性化させましょう。
・ウォーキング(運動)+しりとり(言語活用)
散歩しながら、又はその場で足踏みをしながら「しりとり」を行います。日本各地の地名を取り上げる等テーマを限定すると難易度が上がります。一人でも複数人でも行えます。
・歯磨き(上半身の繊細な運動)+足踏み(下半身の大まかな運動)
上半身と下半身で違う目的を持った動きをすることで脳への刺激が高まります。上半身のみであっても、左右別の動きを行うことも効果的です。例えば右手で二拍子の指揮を執りながら左手で三拍子の指揮を執るなど、異なる動きを同時にやってみましょう。座ったままでも行うことができます。
・足踏み(運動)+歌「むすんでひらいて」(リズム感)+「(で・て)で拍手」(反射神経)
その場で足踏み(椅子に座っていても可能)をしながら歌「むすんでひらいて」を歌い、歌詞の「て」と「で」のタイミングで拍手をする、という組み合わせ動作です。同時進行で複数のタスクを行うことで様々な脳の神経系ネットワークを活性化できます。
②有酸素運動
リズムに合わせて踊る、振り付けを楽しんで覚える等で「楽しい」「ワクワクする」などといった感情を働かせながら新しい情報(振り付け・ダンス・体操)をカラダで覚えることにより、脳を活性化させましょう。運動で血流も巡り、ストレス緩和にも役立ちます。無心に運動に集中することでリフレッシュできるランニングもおすすめの有酸素運動です。
◆記憶力のためにおすすめの食材一覧
・青魚(DHA/EPAなどのオメガ3脂肪酸が記憶力を向上)
・豚肉(ビタミンB1がブドウ糖をエネルギーに変える)
・ごま(ビタミンB6がでんぷんをブドウ糖に分解)
・バナナ(脳のごはん=ブドウ糖を含有)
・カカオ(ポリフェノールが海馬を活性化)
コメント